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自然保護区内での立ち往生とその直後の救出劇 Calama





翌日、めちゃくちゃな寒さで目を覚ました。

寝袋から出ていた肩や、なぜか足先までも冷たくなっている。
入口の壊れたテント、その隙間からつめたい空気が流れ込んでいた。


寒くて起きたくなかったが、ここは店の真ん前だ。
早く片づけなくては迷惑になってしまう。

寝袋を乾かしながらテントをたたみ荷物をまとめる。
それだけで1時間30分もかかってしまった。



店に入って、食事はあるか聞いてみる。
あと2時間でパンが届くんだけどねぇ、と店のおばさん。

さすがに2時間は待てないので、インスタントコーヒーとクラッカーで簡単な朝食をとった。

「ちゃんと食べとかないと、この先は人が住んでいないよ」
とちょっと心配そうに語るおばさん。

しかし手持ちにそんなお金はない。
特にこの村は、なんでもかんでも非常に高いのだ。

そりゃちゃんとした食事をして準備万端で行きたいのはやまやまだが、そうも言ってられないのが現状なのだ。



    ↑泊めてもらった商店


村からのびる道路は、まっすぐ砂漠の山へとつづいている。
話通り、誰も住んでいなさそうだ。




    ↑Calama カラマまで200kmとの表示がされている


googlemap で見てみると、この地域一帯が緑色で塗られていた。
どうやらここは自然保護区になっているようだった。




出てくる出てくる、大自然のかずかず。










 


写真を撮りながら走っていると、白いものが見えてきた。








あれはもしや……塩湖

ボリビアで見逃した塩湖がここで見れるのかもしれない。
そう思っていたのだが、



ん、なんか想像とちがうな。






たしかに白っぽいけど、
「ぽい」だよね。

「白い」ではなく。


ちょっとガッカリ。


ビクーニャがそんな自分を励ましてくれるかのように現れ、
こちらの姿を遠くから見つめている。



ゆるーく警戒体勢のビクーニャたち。



ちなみにペルーでは、ビクーニャは保護されていて、けっこう珍しい存在らしい。

チリではどうなのだろう。




急にきれいになる道路。



そして、さらに白くなる砂。
salar は塩湖のことらしいので、やはりここも塩湖ではあるらしい。



でもなんか想像と違うんだよなー。



塩湖というよりは、白い砂浜という感じ。



舐めてみたらあんまりしょっぱくなかった。
塩じゃなくて火山灰なんじゃね? これ。



ほかにも、
赤い池に、



捨てられた列車、



線路、



緑、赤、青の池など見どころ盛りだくさん。





分かれ道。
本道をはずれると村があるらしいが、30kmも離れているみたい。


    ↑いつの間にかカメラのモードが切り替わってて色が濃い


一山こえると、坂のちまた塩湖。

こんなきれいな景色を見逃すのはもったいないと写真を撮りまくるが、一気に下りたい気持ちもあって、心のなかは板挟み状態。








塩湖になにか動物がいるようだったので、近づいてみることにした。






こちらは水が張ってあり、そこに点々とピンク色の鳥が見える。






これはおそらく、フラミンゴ
なかなかいい風景が見れたのではなかろうか。



塩湖から道路に戻り走り始めると、うしろから
「プシュー」
と威勢のいい音が鳴った。


これは、パンクだ。
しかもどでかい。


荷物をおろして見てみると、チューブの空気を入れる部分から裂けてしまっていた。
オルロで交換したとき、うまくはめられていなかったのだろう。
しかもこのチューブはかなり前、コロンビアで買ったものだったので、劣化もしていたかもしれない。

パッチを当てても直らなかったので交換しようとかばんを探るが、

ない。

スペアチューブがないではないか。


なんと、前回交換したあのチューブがラストだったらしい。


なんてことだ。
ちゃんと確認しておくんだった……


最近なにかにつけて実感するのだが、頭が全然まわっていない。
勘も鈍っているようだ。

年なのかな。



悲しんでいる暇もなく、この先どうするか考える。

歩いて戻れば明日にはオジャグエに戻れるだろう。
そこからバスを捕まえて先の町へ行こうか。

もし車が走ってくればもしかしたら乗せてもらえるかもしれないが、ここではほとんど車は見かけていない。
おそらく無理だろう。


と自転車を押しながら戻ること1分。
なんと向かいから軽トラが!

手を振って停まってもらう。


自転車が壊れたと言うと、なんと乗せてくれるようだ。
頭は働いていないが、運は変わらず持ち続けているらしい。


本当に助かった。
食料もそこまで持ってなかったので、命の危険とまでは行かなくともけっこう大変な思いをするところだった。

ありがたく乗せてもらおう。



車内で水とお菓子をごちそうになり、
さらに Calama(カラマ)という町に着いてからも面倒なことをいろいろ手伝ってくれた。

この日は祭日だったらしく、平日なのにほとんどの店が閉まっていた。
ATM でさえも。

しかし安いホテルとあいている ATM をわざわざ探してくれたのだ。


    ↑町中を探し回って見つけてくれたホテル


彼らの目的地はここではなく隣町のマリアエレーナというところなのに、自分にかなりの時間と労力をかけてくれた。



最近は人とうまくやっていけてなかったのでピリピリしていたが、その気持ちを解きほぐしてくれたかのようだった。


彼らに会えて本当に良かったと思っている。


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