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ナスカの手前の町の休日、Palpa


歯を磨いて顔を洗ってから、借りた部屋を掃除しておく。
ベッドを直して。
一昨日泊めてもらったホルヘさんからもらったクッキーを朝食にした。

自転車に荷物をつみこむ。

借りた部屋を離れ外に出ると、それに気づいた見張りの犬たちはわんわん吠える。
昨日よりトゲのない吠え方になっていた。

ちょうど、ハンターっぽい風体の管理人のおじさんが出てきてくれたので、お礼を言ってこの場を去った。


大きくて清潔なベッドを貸してもらったおかげで、疲れはかなりとれている。
でもそろそろ一人でゆっくりして、のんびり寝たい。
早く町に着かないかな。



サンタクルスという小さな村で腹ごしらえ。
エナジードリンクを買って飲み、看板に従い左折。



太陽がまぶしい。

今日はやけにのどが渇くし、トイレにも行きたくなってきた。
ちょっと急ごう。


道はこのさき山を越えていく形をとっており、下り坂から村があるのを見下ろせる。
一気にすべり降りた。




道を歩いていたおばさんに質問を投げかけてみる。

「ここがPalpa(パルパ)の町ですか?」

パルパという町がこの先近くにあるということを、看板や人々の情報からわかっていた。
今日はそこで休もうと思っていたのだ。

「いいや、ここはリオグランデだよ。でもほれ、村の先の坂をのぼればすぐに着くから」

お礼に、食べきれていないホルヘさんのみかんをどうぞ。
笑顔で受け取ってくれた。


村の商店でトイレを借り、飲み物やアイスを買って少し休憩。
この村はのどかで明るく安全で、なにもないがゆっくりできそうな雰囲気だった。

けっこう気に入っていたのだが、とにかくここのところご無沙汰だったネットを繋げたい。
その一心で先へと進む。
もしいまだにパソコンが壊れていたならば、即決でここに泊まったことだろう。


きっつい坂をのぼり、途中休憩しながらオカリナを吹いたりしつつ、ようやくパルパの町までやってきた。


ホテルを探す。

なかなか見つからない。

ホテル自体はたくさんあるのだが、なぜか非常に高い。
40ソル(1400円)は当たり前。
どこもそんな感じなので、とあるホテルのオーナーにひとつ聞いてみた。


「この辺って観光客がよく来るの? どこもホテルがとても高いけど」

「いやいや、全然来ないよ。来ないから高くしないといけないんだよ。人が入れば安くできるんだけどね」


どこも同じような値段だったので、そう答えてくれたホテルに一泊することに決めた。
ここまで高いとあまり泊まりたくはないが、だいぶ疲労が蓄積しているし、そろそろお休みがほしかった。


さすが高いだけあり、ネットは快適だし、部屋には小型の冷蔵庫までついている。
シャワーは固定ではなく、日本みたいに可動式になっていた。
これらはペルーの安宿ではまあ見ない。

さすが高いだけある。
贅沢だ。


今回は観光はほとんどしない。
久しぶりの暖かいシャワーを目いっぱい浴びる。

大きな窓、ふかふかのベッド。
狭くとも豪華な部屋でゆっくり過ごした。




それが、間違いだったんだ。



じつは、
これから向かう町、ナスカ。


そこで有名なナスカの地上絵は、

すでにここから始まっていることに、

まだ気がついてはいない。


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