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絶好の走行日和だと思ったらそれは大間違いだ! ~Pillones




体がひどく疲れていた。
夜明け前に目が覚めて寝てをなんどか繰り返し、朝7時に起床。

脚と腰、それから肩の痛みがまだ取れていない。
ファイナルファンタジーの魔法でいうところの「ケアル」程度しか回復してなさそうだった。
寝たら体力が全回復するのは主人公として必須の素質なのだろう。
自分は世界を救う勇者などではなさそうだ。

もう一泊しようか迷ったが、シャワーもないこの宿で休むのは得策ではないということで出ていくことにした。


お店のおじさんにお金を払い、次の村までどのくらいか聞いてみる。

「ここから100kmはあるね。前に車で行ったときは40分で着いたからな」

…一体この人、時速何km出しているのだろうか。
見せてもらった地図では50km前後といったところだった。


    ↑プーノまで223km。DVSは分かれ道ということなので、66km先に町があるかどうかはこれだけではわからない



   ↑サンタルシア方面へと行きます


空も晴れだしたころ、自転車にまたがり出発。
荒野に伸びるクネクネとしたコンクリートのうえをつたっていく。



    ↑↓てっぺんに雲のかかった山が遠くで見えている。ピチュピチュ山かチャチャニ山のどっちか





    ↑こちらはミスティ山


雲は多いものの青空も見えているし、絶好の走行日和!

そう思っていたが、実は2つの意味で間違っていたのだった。



    ↑「動物に気をつけて運転して」の看板と、


    ↑動物注意の看板。アルパカである


    ↑そしてその隣には本物のアルパカが闊歩している


天気はいいのだが、前日の体の痛みと疲れが溜まっているようでなかなか進めない。
休憩をしつこいくらいはさみながらちょっとずつ緩やかな坂を登っていった。


    ↑こんな道を走っています



    ↑白い土壁の間を走行中



    ↑高原になっているため、眺めがいい



    ↑怖いくらい青く色づいた空


気づいたら、なんだか寒い。
なんと現在高度が4250mほどらしい。

どおりで息がすぐに切れるはずだ。
歌いながら走っていたせいではなかった。
納得。


    ↑右下の数字が標高


すこし砂漠化した高原を一歩一歩進む。
自転車を押し進めて。
背中の荷物が断続的に肩と腰へダメージを与えてくる。


もしかしたら、バックパッカーチャリダーというのは力車を押して歩いている人とそう変わらないのかもしれない。
荷物を体に身につけている分こちらのほうがきついのではないか。
さらに現在自分の自転車はボロボロで、平地まで歩くことが多い。
しかしまあ、下りは200倍はこちらのほうが楽なのだが。


そんなことを考えながら途中に出てくる店で休憩をはさみつつ、それでも確実に前進する。


坂を登ると、そこは見晴らし台になっていた。
広がる景色に身をゆだねてゆっくりしたかったのだが、そこには別のチャリダーが。





め、めんどくせー!

話しかけられたくねー!!!(コミュ障)



どうやら気づかれていなかったようなので、ささっと後ろを通りすぎる。
ゆっくり風景を楽しみたかったのだが、残念だ。


    ↑とりあえず写真だけ撮ってその場をおさらば


なんだか手の甲がひりひりする。
日焼けして赤くなってしまったようだ。
曇っているから大丈夫だろうと高をくくった結果、これがひどいことになってしまうのである。

これが、「絶好の走行日和」でもなかった一つ目の理由だ。



    ↑線路が走っているのが見えるだろうか


    ↑この線路とこれから並んで走っていることになる


その後、快調に進むも天候は一気に悪化。
雹が降ってきたがこの山道に身を隠す場所もなく、体も荷物も濡れながら寒さに耐える。

これが、「絶好の走行日和」ではなかった2つ目の理由。
雨期の天気は変わりやすい。



小さな村が見えたのでそこへ避難。
寄宿舎のようなところでテントを張らせてもらった。




    ↑Pillones ピジョネスという村


皆こちらに協力的で進んでテントを張らせてくれたが、小さな商店にはほとんど商品はなく、夕食も高かったため手持ちのチョコバー・スニッカーズを食べて飢えをしのいだ。


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