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ホテルを追い出された男、アパートを追い出された男 Puno


カードが届くまで、待つこと1か月。

それまでに祭りを見に行き、セビーチェリアの主人に昼ご飯のセビーチェをごちそうになり、通りに座っているナチュラリストなドイツ人から大きくて分厚いパーカーをもらい。
そんな日々を過ごしていましたが、一向にカードが届く気配はありません。

ついには泊まっていた宿を追い出されてしまいました。


※セビーチェリア
セビーチェ屋。セビーチェとは魚をレモンでしめた料理。下に写真あり。



↑祭りの様子。子どもの日かなにかだったようで、縁日のような出し物が並んでいた↓





    ↑ホラーアトラクションも。



    ↑毎日のようにご馳走してくれていたセビーチェ



    ↑関係ないが、ドローン教室の張り紙


以前から、これ以上届かなかったらカードを再発行してもう一度送ってもらい、滞在地はリマの日本人宿に変更して待たせてもらおうと考えていました。


ついでに向こうで買い物して、プーノに戻る前にちょっとウロウロしてみようか。


そんな計画を立てていたのですが、日本語を話せる初老の男性から、

「うちに泊まりなよ。安全に荷物を届けてもらうすべも知っているから」

との誘いが。
彼は日本語をすこし話せるらしく、以前からたびたび声をかけてくれていました。


すでにリマに行く気満々だった自分はどうしようかと悩み、詳しい話も聞きたいのでとりあえず数泊だけさせてもらうことにしました。
自転車はセビーチェリアに置かせてもらって、その男性ハビエルさんの家へ。



彼は3つのレストランに従事しており、さらにヨガのインストラクターもやっているとのこと。
だから休みは土曜日だけで、それ以外は朝から深夜まで働いているんだそうです。
どうしてかというと、子どもが4人いてそのうちの一人がまだ学生なので学費を稼がないといけないから。

ペルーの人はこうやって休みもほどんどなく働いている人がかなり多い印象です。


2時から昼休みに入るということで待ち合わせをし、案内に従ってアパートの一室へ。
とても小さな部屋でした。

実は3日前にこのアパートへ引っ越したばかりだったそうで、室内はまだ新しい部屋のにおいがしていました。


紹介してもらった宅配便は、安全だからこそ手配がやや難しいみたいでした。

やっぱりリマに行こうかな、そう考えながら水を買いに行こうとアパートの外へ出ようとすると、感じの悪い女性に道をふさがれました。

その女、このアパートの主だったようで、こちらを見るとけげんな目で
「あんた、どこに部屋にいんの?」
と聞いてきました。

そこの部屋だと言うと、
「これは話をしないといけないわねぇ」
とかそんな独り言をつぶやいています。

いつまでも道をふさぎいくつも質問をぶっきらぼうにぶつけてくるので、こちらも負けじと強気に応答。



そして夜、部屋に入ってきたその女はハビエルさんを呼び出しました。
戻ってきた彼に話を聞くと、部屋を出ていけと言われたそうです。

おそらくアジア人差別をする人だったのでしょう。
ここプーノではそういう人が一定数見られました。


いつも元気で笑顔のハビエルさんもこれには不安を隠せません。
しかしそれでもこう言い放ちます。

「ここの人は気に入らないし、こっちに引っ越してから3日間水がずっと止まってるんだよ? もうこんなところにはいられないね」

とっとと出ていきたいという様子でした。



次の日も仕事のハビエルさん。

朝からヨガのレッスンだったのでついていきました。
ですが、引っ越し先をすぐに探さないといけないのでなかなか集中できなかったようです。


終わってから張り紙にあった部屋を見に行く途中、彼の携帯が鳴りました。
なんとセルポストからの電話でした。


※セルポスト
serpost。海外の郵便局にあたる。


昨日セルポストに行ったとき、今いるところが変わったから封筒をそっちに届けないでほしいとお願いしていたのです。

「こっちに届いたら運ばずに連絡するよ」

ということでハビエルさんの携帯番号を渡しておきました。


電話によると、昨日ちょうど入れ違いでホテルに届けてしまったとのこと。

しかしあのホテルにはもう二度と行きたくなかったので、絶対に行かないと渋っていると、ハビエルさんが協力してくれるということで部屋を見に行った帰りにそのままホテルへ。

話はハビエルさんがしてくれて、なんとかカードの入った封筒を受け取ることに成功しました。


「今回はよかったものの、盗まれるからホテルに届けてはいけないよ」
とハビエルさん。

このせいでレストランの仕事にすこし遅刻してしまいましたが、彼がいなかったらカードは受け取れなかったことでしょう。



「新しい部屋をすぐに決めるからまた泊まりにきたらいい」と言ってくれましたが、自分がいないほうがおそらくすんなり事は運ぶはずなのでそれを断り、荷物をもってほかのホテルへ移動しました。

ここが、とてもいいところだったのです!

部屋はかなり広く前のホテルよりネットも強くて、それで30ソル(1050円)。
後でわかったのですが、どうやら70ソル(2450円)もするハイランクの部屋を大幅値下げしてくれたようです。




    ↑部屋もベッドもめちゃくちゃ広い!



    ↑Hostal Maya(ホスタル・マヤ)というホテル。チチカカ湖の船乗り場とスタジアムの間の細い路地にある


仕事があるのでいったん別れて再度落ち合おうということで、セビーチェリアのダニーさんに会いに行きました。
今度は部屋を探さないといけないと相談すると、

「うーんぼくはわからないね。でも彼は多分探し方をわかっているから大丈夫だよ。それよりも君は問題を解決できて元気になったんだろ? よかったね」

そうなんだけど、自分のせいで追い出されたからなんとか力になってあげたいんだと説明。
この日、店は大変忙しく、あまり話をすることはできませんでした。



待ち合わせをしていたハビエルさんとはその日会えず、電話で次の日に会うことになりました。


話を聞くと、昨日買ったベッド用のクッションがナイフで切り裂かれ捨ててあったそうです。
さらに、たった4日しか使っていなくてしかも向こうから出ていけと言ってきたくせにお金も返してくれなかったらしく、仕事場に嘘の噂話まで流していました。

友達の警官に話しても、部屋を借りるときの契約書がないので何もできないと言われたのだそう。
新しく見つけた部屋は家賃を半分月末まで待ってくれるように頼んでなんとか落ち着いたみたいです。


「もういいんだ。相手に仕返しをしてもこっちに返ってくるだけだから、このことは忘れよう」


おごってあげたフラペチーノを店で飲みながらそんないきさつと言葉を話すハビエルさんの表情は曇ったまま。

それでも話をゆっくり聞いて、さらに昨日泊めてもらった宿代ということで拒否するハビエルさんに無理矢理チップを渡すと、機嫌は大分治ったようです。
いつもの朗らかな彼に戻りました。





こんな風にどうにもできない問題というのは身近なところにたくさんあって、それに対抗できる手段がないというのはとても悔しいことです。

自分は彼みたいに許したりあきらめたりすることができません。
だからこそ生きていく上でうまくいかないことが増えてしまうのですが、
じゃあ全部忘れましょう!
なんて考えられないのです。

ずっと覚えています。
いつまでもそれに付きまとわれ、苦しめられることも承知で。


こんなときに、どうにもできない問題をどうにでもできる力があればな、と考えたりします。



その後会った彼は、以前と同じような笑顔でレストランの仕事をしていました。


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