×[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net[PR]
朝の7時にテントが叩かれ、こちらに向けてなにか言ってくるおじさん。
チリの人たちは早口でもごもごしゃべるのでよく聞き取れないが、どうやらテントを張っていいのは朝の7時までだったようだ。
この時期の7時はまだ暗い。
それでも、急いでる風にのんびりとテントを片づけ、支度をする。
さっきのおじさんは仕事で、この場所の整備しないといけないらしかった。
掃除をしながら
―― niño 男の子
そう呼んでいる小犬をかわいがるおじさん。
さっきまであんなに怒っていたのに、今ははしゃぎ回っている犬の姿を笑ってこちらへ見せてくれる。
そして
「どこから来たんだい?」
態度が真逆に変わったおじさんとしばらく話をする。
人間というのはよくわからないものだ。
区切りのついたところでお別れを言い、この"オアシス"を出発した。
ここから道路は広くなり、ときどき太陽光発電を利用した電灯も並んでいたりする。
砂漠のなかに立ち並ぶ電灯はすこし不自然な光景だった。
↑この先はこんな風になっているらしい。大まかすぎてよくわからない
このカメラの看板はおそらく絶景ポイントだろう。
しかしまわりは完全に砂漠。
砂しかない。
「なにを撮れと言うのだ」
とつぶやきながら一応まわりを写してみる。
ふつうの景色だった。
ここから下り坂がつづき、動くことなくバランスをとるだけで爽快にタイヤを転がすことができる。
疲れている体にこれは嬉しい。
すぐに次の村が見えた。
Baquedano バケダーノという、お化けが出そうな名前の村。
工場と鉄道の駅、そして家々が小規模にならんでいるところだ。
↑入口手前には砂漠の緑化活動の跡がみられる
見つけたレストランの食事は3200ペソ(512円)だった。
体は栄養を求めていたが、高かったのでスープだけを注文しようとすると、プレートのみの料理を2000ペソ(320円)に値下げしてくれた。
これは大変ありがたい。
サラダが多すぎて食べるのが大変だったが、とてもおいしかった。
村のなかを見てまわる。
人は警戒心が強い印象だが、建物は明るくて雰囲気はいい。
↑力士の絵が描かれたホテル兼レストラン
体が疲れていたので今日はここで休もうとも思ったが、まだ早すぎる時間だしあと少し進んだほうが明日楽になるだろう。
もうちょっとがんばることにした。
村を出ると、またあのカメラの看板が。
「だからなにを撮れと……」
一応写真を撮っておくが、やっぱりなにもない。
……と思っていたが、今このブログを製作中によく見たら、なにか写っているではないか。
これは、
地上絵だ!!
え、うっそ、
なんでこんなところに?
ふつうの幹線道路のわきに地上絵があるなんて。
ああ、実際に目で見たかった。
でもたまたま写っていただけでも幸運だったのかもしれない。
のぼり道を歩いていると、大型のトラックが停まって
「Antofagasta アントファガスタまで乗ってくかい?」
と誘われる。
え、また!?
しかし悩む自分。
大きな町に入る前に少し休んでおきたかった。
ホテル探しに時間がかかると面倒だし、どうしよう。
それでもトラックのおじさんの乗ってけコールに負け、乗せてもらうことにした。
自転車はうしろの荷台奥に倒しておき、助手席へ乗り込む。
思えばこの道はトラックに始まりトラックで終わったルートだった。
彼はベネズエラ出身で、こちらへ働きに来ているようだ。
ベネズエラは治安が悪いし、こっちのほうが儲かるから、と。
どおりで彼のスペイン語は聞きやすいはずである。
チリのスペイン語は全然聞き取れないと言うと、口をよこに開いて大きな笑顔を見せてくれる。
途中の山道で検問があり、警察官がこちらのパスポートを見ながら片言の英語で世間話をしてくれた。
警察官は世間話が好きなのだろうか。
ボリビアでもチリでもこんな調子だ。
親切ではあるし、こちらとしては助かるのだけど。
坂を登りきると、目のまえに背の高いビルが現れた。
アントファガスタは思っていたよりずっと大きな町のようだ。
「中心部に行く? それともビーチに行く?」
「どっちのほうが安いかな?」
「どっちも同じくらいだよ。おれはビーチのほうに行くけど」
「じゃあ、ビーチで」
ということで海岸沿いをずっと走ってもらい、降りる。
この近くに安いホテルがあると彼は言うがまったく見つからず、結局中心街へ行くことになった。
↑乗せてくれた人
↑海沿いの道からダウンタウンへと移動しているところ
↑中心部の公園
適当に歩いていると、スナック屋のお兄さんや道を歩くおじいさんが安いホテルの場所を教えてくれた。
最近はあまりホテルを自分で探していないなぁ。
ホテルマイスターの名が廃る。
それでもそこはなかなかいい場所で、ネコもいるし広くて居心地がよかった。
掃除はされているがあまりきれいではない。
それでも窓付きの広い部屋はすてきだ。
[1回]
PR
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/20181023antofagasta導かれるままに Antofagasta
ふかふかベッドの寝心地はよく、起きたのは11時すぎ。
ロングスリーパーの朝はつらい。
ホテルのスタッフはいないようだったので、のんびりと支度をしてホテルを出る。
アボカドペーストとトマトの乗ったホットドッグ、コンプレートを食べて飲み物を買い足し、シエラ・ゴルダの村の出口へ向かった。
↑飲み物を買った商店にいたネコ
昨日は暗くなってあまり探索できなかったが、この村にはホテルが数件あるようだ。
てっきり泊まったところしかないのだと思っていたが、そんなこともなかったらしい。
というのも、この村はバスの中継地点になっているようで、バス会社が並んでいた。
つまり深夜組が泊まるので、ホテルも用意されているはずなのである。
こんな小さなところなのに ATM が用意されていた。
これまでの国ではなかなか考えられない。
小さな村にはなかなかないので、大きな町でお金をおろしておかないといけなかったのだ。
チリってやっぱり豊かなのだな、
と ATM で実感するのもなんだかおかしな話だ。
そんなことを思いながら、村を出ていく。
↑村の通りはこんな感じ
村を出ると、とたんに砂漠へと変ぼうを遂げる。
なにもない。
砂しかない。
線路はあるが、人はいない。
だれかのお墓で休憩をはさみつつ、ゆっくりと歩を進める。
向かい風が強く、あまりスピードは出せない。
↑休憩中
道路のサイドには、廃墟になったであろう村の跡地が残されていた。
くずれた土壁がいまはただ静かに並んでいる。
中庭や広場だったであろう場所が当時の賑わいを思わせた。
ここでキャンプをすることも考えたが、まだ日の光は残っているので先を目指すことに。
暗くなってしまっても、ここはどこも誰もいない砂漠。
どこでだってテントを張ることができるだろう。
水や食料はまだあるし。
↑このオフィシーナと書かれているところがいくつかあったが、人はいなさそうだった。これは一体何なんだろうか
しばらく黙々と走り、分かれ道に来た。
大きな交差点には店が建っていることが多いのだがここも例外ではなく、砂漠のまんなかにも関わらずガソリンスタンドとレストラン、小さなコンビニがあった。
看板には Oasis と書かれていた。
空はすでに星が見えている時刻なので、今日はここでキャンプさせてもらうことにしよう。
レストランでちょっと高めだがおいしい料理を食べて、店の人にキャンプの許可をもらう。
休憩スペースのような公園風のところにテントを張った。
↑海鮮スープ。大好きなアサリが入っていてめっちゃおいしかった
↑家庭風ハンバーグとチーズマカロニ
コンビニは2軒あって、そのうちのひとつにはトイレが備えついていた。
しかもシャワーも使えるらしい。
なかなか至れり尽くせりな場所だ。
しかしおそらく有料なので使わないことにする。
念願の地図が売っていた。
欲しかったので買おうか迷ったが、さきの町にインフォメーションセンターがあれば無料で手に入る可能性が高い。
なくても本屋などで同じものが売っているだろう。
ここでは買わないことにした。
↑機械仕掛けの空気入れもあった。翌日使おうと思っていたら忘れてしまったのでここで載せておく
夜遅くに地元の自転車通行人が来て、外で寝る支度をしていた。
彼はテントを持っておらず、地面に敷物を敷いて毛布をかけて寝ているようだった。
ちかくに人がいるのはすこし不安だったが、車内泊をしているトラック運転手もたくさんいるみたいだし、大丈夫だろう。
そのまま眠った。
[1回]
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/atacamaoasis砂漠のなかの OASIS
カラマのホテルを出る。
出発する前にもう一度バスキングをしようかと思ったが、警官がたくさんいたのでやめた。
カラマは中心部の一部のみ商店街になっていて、その外は市街地がずっとつづいている町だ。
途中のホットドッグ屋で昼食を食べ、砂漠へと出ていく。
↑色々書いてあるがおそらくほとんどは町じゃない
検問所があり、そこのスタッフたちと話をする。
次の町は70kmほど先にあるらしい。
思っていたより遠いようだ。
今日中には着かないかもしれない。
砂漠は風が強く、推進力がなかなか取れない。
一生懸命に走っていると、軽トラが止まった。
途中まで乗せてくれると言う。
すこし考えた。
自転車を車に乗せるのは色々と面倒なのだ。
力を使うというのもあるし、自転車が破損したり、忘れ物をしてしまうことも結構多いから。
でもせっかくなので、いつものように乗せてもらうことにした。
彼はカラマに住んでいると言うが、そこはあまり好きではないらしい。
自分の演奏を聞きに来てくれた女の子もまったく同じことを言っていた。
もっと他のところに行きたい、と。
自分はカラマが好きだったので不思議だったのだが、
実際に住んでみると退屈なところなのかもしれない。
周りにはほかに何もないから。
それとも、彼らは砂漠が嫌なのか。
はたまた、もしかするとチリの人は謙遜の文化があるのかも。
助けてくれた人もマリアエレーナはつまらない場所だと言っていたから。
10kmほど走っただろうか。
丘の上り坂を越えたところでおろしてくれた。
何もない砂漠。
思っていた以上に何もない。
途中でレストランがポツンと一軒あって、そこで食事をする。
おばあさんがすごく優しく語り掛けてくれて、塩分もとれて元気を補充できた。
ときどき現れる小さなほこら状の墓で休みながら進む。
暗くなってきたころ、なんと次の町の Sierra Gorda(シエラ・ゴルダ)に着いてしまった。
今日はたどり着けないと思っていたのに。
車で送ってくれたおかげでこんなに早く進めたのだろうか。
↑人口650人の小さな村
こちらは今サマータイム中なので、暗くなるのが遅い。
そのおかげで遅くまで走ることができた。
ちなみに、ちょっとすごいことを言うが、
このときは現在の時刻がはっきりわかっていなかった。
人や時計によってサマータイムになっていないことがあり、混乱していたのだ。
現在時刻がわからずに過ごしていたなんて、現代でなかなかあることではない。
面白い体験ができた。
↑到着時の時刻。こちらは実は1時間遅れていて、実際は19:38である。まだ明るい
ホテルを探すと、バスを待っている兄ちゃんや工事現場風のおじちゃんが教えてくれた。
高そうなレストランの人に話しかけ、部屋に案内してもらう。
値段は18000ペソ、安いところでも15000ペソらしいが、お願いして8000ペソにしてもらった。
「オーナーはこれまで10000ペソまでしか安くしなかったのよ」
とホテルのスタッフ。
これはラッキーだ。
シャワーはノズル式だが壊れていて水が漏れていた。
紙は切れかかっている。
それでも全然文句はない。
今日はなんて素敵な日なのだろう。
[1回]
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/sierragorda夜7時をすぎても明るいサマータイムは絶好の走行時期 Sierra Gorda
[1回]
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/calama2カラマ探索② 出発の準備と街さんぽ Calama
[1回]
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/calama1カラマ探索① チリの物価を知ろう! Calama
翌日、めちゃくちゃな寒さで目を覚ました。
寝袋から出ていた肩や、なぜか足先までも冷たくなっている。
入口の壊れたテント、その隙間からつめたい空気が流れ込んでいた。
寒くて起きたくなかったが、ここは店の真ん前だ。
早く片づけなくては迷惑になってしまう。
寝袋を乾かしながらテントをたたみ荷物をまとめる。
それだけで1時間30分もかかってしまった。
店に入って、食事はあるか聞いてみる。
あと2時間でパンが届くんだけどねぇ、と店のおばさん。
さすがに2時間は待てないので、インスタントコーヒーとクラッカーで簡単な朝食をとった。
「ちゃんと食べとかないと、この先は人が住んでいないよ」
とちょっと心配そうに語るおばさん。
しかし手持ちにそんなお金はない。
特にこの村は、なんでもかんでも非常に高いのだ。
そりゃちゃんとした食事をして準備万端で行きたいのはやまやまだが、そうも言ってられないのが現状なのだ。
↑泊めてもらった商店
村からのびる道路は、まっすぐ砂漠の山へとつづいている。
話通り、誰も住んでいなさそうだ。
↑Calama カラマまで200kmとの表示がされている
googlemap で見てみると、この地域一帯が緑色で塗られていた。
どうやらここは自然保護区になっているようだった。
出てくる出てくる、大自然のかずかず。
写真を撮りながら走っていると、白いものが見えてきた。
あれはもしや……塩湖?
ボリビアで見逃した塩湖がここで見れるのかもしれない。
そう思っていたのだが、
ん、なんか想像とちがうな。
たしかに白っぽいけど、
「ぽい」だよね。
「白い」ではなく。
ちょっとガッカリ。
ビクーニャがそんな自分を励ましてくれるかのように現れ、
こちらの姿を遠くから見つめている。
ゆるーく警戒体勢のビクーニャたち。
ちなみにペルーでは、ビクーニャは保護されていて、けっこう珍しい存在らしい。
チリではどうなのだろう。
急にきれいになる道路。
そして、さらに白くなる砂。
salar は塩湖のことらしいので、やはりここも塩湖ではあるらしい。
でもなんか想像と違うんだよなー。
塩湖というよりは、白い砂浜という感じ。
舐めてみたらあんまりしょっぱくなかった。
塩じゃなくて火山灰なんじゃね? これ。
ほかにも、
赤い池に、
捨てられた列車、
線路、
緑、赤、青の池など見どころ盛りだくさん。
分かれ道。
本道をはずれると村があるらしいが、30kmも離れているみたい。
↑いつの間にかカメラのモードが切り替わってて色が濃い
一山こえると、坂のちまた塩湖。
こんなきれいな景色を見逃すのはもったいないと写真を撮りまくるが、一気に下りたい気持ちもあって、心のなかは板挟み状態。
塩湖になにか動物がいるようだったので、近づいてみることにした。
こちらは水が張ってあり、そこに点々とピンク色の鳥が見える。
これはおそらく、フラミンゴ?
なかなかいい風景が見れたのではなかろうか。
塩湖から道路に戻り走り始めると、うしろから
「プシュー」
と威勢のいい音が鳴った。
これは、パンクだ。
しかもどでかい。
荷物をおろして見てみると、チューブの空気を入れる部分から裂けてしまっていた。
オルロで交換したとき、うまくはめられていなかったのだろう。
しかもこのチューブはかなり前、コロンビアで買ったものだったので、劣化もしていたかもしれない。
パッチを当てても直らなかったので交換しようとかばんを探るが、
ない。
スペアチューブがないではないか。
なんと、前回交換したあのチューブがラストだったらしい。
なんてことだ。
ちゃんと確認しておくんだった……
最近なにかにつけて実感するのだが、頭が全然まわっていない。
勘も鈍っているようだ。
年なのかな。
悲しんでいる暇もなく、この先どうするか考える。
歩いて戻れば明日にはオジャグエに戻れるだろう。
そこからバスを捕まえて先の町へ行こうか。
もし車が走ってくればもしかしたら乗せてもらえるかもしれないが、ここではほとんど車は見かけていない。
おそらく無理だろう。
と自転車を押しながら戻ること1分。
なんと向かいから軽トラが!
手を振って停まってもらう。
自転車が壊れたと言うと、なんと乗せてくれるようだ。
頭は働いていないが、運は変わらず持ち続けているらしい。
本当に助かった。
食料もそこまで持ってなかったので、命の危険とまでは行かなくともけっこう大変な思いをするところだった。
ありがたく乗せてもらおう。
車内で水とお菓子をごちそうになり、
さらに Calama(カラマ)という町に着いてからも面倒なことをいろいろ手伝ってくれた。
この日は祭日だったらしく、平日なのにほとんどの店が閉まっていた。
ATM でさえも。
しかし安いホテルとあいている ATM をわざわざ探してくれたのだ。
↑町中を探し回って見つけてくれたホテル
彼らの目的地はここではなく隣町のマリアエレーナというところなのに、自分にかなりの時間と労力をかけてくれた。
最近は人とうまくやっていけてなかったのでピリピリしていたが、その気持ちを解きほぐしてくれたかのようだった。
彼らに会えて本当に良かったと思っている。
[1回]
http://yumenosukoshiato.ichi-matsu.net/chile/20180928自然保護区内での立ち往生とその直後の救出劇 Calama