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目が覚めたのは8時ごろだったが、
"海の家"に住む家族たちは何も言わずに寝かせてくれていた。
起きてテントを片づける。
天気は曇っていて、潮風のせいか湿った空気が肌をつつんでいる。
自転車に荷物を積み終わったころ、昨日とおなじく家のなかへ招待された。
スープと紅茶をもらい、そのまましばらく彼らとおしゃべり。
おじさんがニワトリの世話をしにいくと言い、ほか2人も忙しそうにし始めたので、ここでおいとますることにした。
悲しそうな顔をうかべる奥さんと娘。
これでお別れ。
きっとここには二度と来ることはないだろう。
10時から走り出したが、この海岸線の道は風が強く、アップダウンも激しい。
道路もそんなにいいわけじゃないし、クネクネと蛇行していて走りにくい。
思っていたよりずっと時間がかかる。
家は時々1~2軒現れる程度。
ひと気のないところも少なくない。
↑看板があり、村かと思ったら……
↑やっぱり小屋が数戸あるだけ
必死になって進むがなかなか思うようにいかない。
足が前に出ないのは、これまでの疲れが出てきているせいか。
そんなとき、軽トラが目の前に停まって……
ってまたこのパターンかい!
そう、またこのパターンです。
これから南にある地元の Copiapo コピアポへと帰るのだというその男性に乗せてもらえることになった。
この辺はどこにも店はないし、見どころもまったくと言っていいほどない。
砂と荒れた海とグレーの空だけ。
今の疲れ果てた状態でなん十kmなん百kmと進むのは、危険とはいかなくても好ましい状況ではない。
彼がピックアップしてくれて助かった。
その男が言うには、
これまで彼は海苔を採っていてさっきの家族同様"海の家"を借りていたが、ここ数か月間海苔がまったく採れなくなってしまい、今はほとんど収入がないらしい。
さらにアメリカの政策のせいか他国への輸入もあまり取り扱ってくれず、なかなか厳しいのだそうだ。
そこでこの仕事に踏ん切りをつけ、地元へ引っ越して別の仕事をするのだという。
たしかに後ろ座席を見るとテレビが置いてあるし、自分の足元には半分ほど空いた卵パックがあった。
もうスッカラカンだと、彼はペラペラの財布をつまみあげた。
この辺の"海の家"の人たちはみんな知り合いだそうで、途中の家で緑色のガソリンを購入。
すこしだけだが自分もお金を出し、ガソリンを入れるお手伝い。
自転車で走ると思うとげんなりするような道をスイスイ走りながら、色々な話をしてくれるスチュワートというこの男性。
なぜかイタリア語を少し話せるようで、ラジオでかかっているイタリア語の歌を陽気に歌ったりするゆかいな人だった。
ただ自分はというと、疲れと眠気と車酔いを耐えるのに必死で後半は元気がなくなってしまった。
すまなく思ってはいるが、これらはどうしようもない。
まだ明るい時間に次の町 Taltal タルタルに着いた。
自転車を降ろして荷物を積みなおし、スチュワートとお別れをした。
この先彼の人生がうまく行きますように。
↑「どう、よく写ってる? ハンサム?」と聞いてくるスチュアート
先ほどの道からは想像できないほど緑あふれたこのタルタル。
停車中のタクシー運転手から聞いた安宿は自転車を置けないということで拒否されてしまったので、その途中で見つけたちょっと気になったホテルへ行って、そこに決めた。
なかなかいい場所なので、ちょっとここでゆっくりすることにしよう。