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ついにペルー出国!そしてボリビア入国!! あと両替の話とか




ユングーヨの宿には大変お世話になった。
何度も食事やお茶をごちそうになったり、最後のほうは宿泊料をタダにしてもらった。


しかし、距離感が近すぎるせいで居心地はよくなかったのは確かだ。

――どこに行ったか、何を買って何を捨てたか、シャワーの時間、寝る時間と起きる時間……

どれも監視されていて、閉塞感を感じずにはいられない。
正直、早くここを抜け出したかったのは事実だ。



風邪を引いていたときに使わせてもらった輪っかのマフラーをプレゼントしてもらい、ホテルの人たちにお別れを言う。
自転車に荷物を積み、タイヤに空気を入れ、ザックも準備。

写真を一緒に撮ってほしいという頼みをのみ、それから出発した。



~~~~~~~
(ここから両替の話)


両替はすでにすませてある。

ボリビアではATMのスキミングが多いと以前日本人宿で聞いていたので、ここで多めにおろして両替しておいたのだ。


プーノではこの辺のほうが両替レートがいいと聞いていたが、あれは嘘。
こちらはプーノと同じくらいか、それ以下だった。

2018年8月のペルー/ヌエボソルとボリビア/ボリビアーノのレートは大体

 1ソル:2.10ボリビアーノ

3月に聞いたプーノでのレートはどこも

 0.47ソル:1ボリビアーノ つまり 1ソル:2.12ボリビアーノ


ユングーヨでは日によっても違うが

 1ソル:2.05 ~ 2.10ボリビアーノ
高いところでも最高で2.12ボリビアーノ

国境でも大体こんな感じかもうちょっと安かった。


つまりプーノで両替したほうが安心というわけなのだが、プーノはあまりボリビアーノ紙幣が用意されてない。
大量に両替したいときは両替所をいくつかまわらないといけない事態にもなりえるのだ。


もしユングーヨで両替したいときは、メルカド(市場)にある Ana Maria というところがいいレートで扱ってくれた。



一番レートがいいのはメルカドの角にある Gaby だが、ここは外国人には安く交換しようとしてくるし、対応が最低だった。
もしどうしてもここで両替したいときは、ユングーヨの人を連れてくるようにした方がいいだろう。

自分も一度ホテルのおじさんと一緒に下見したのだが、そのときはものすごく笑顔でレートもすこぶるよかった。
でも別日に再度訪れたときには、怒ったような口調でぞんざいに扱われる始末。
レートも低く、向かいの仲よくなった雑貨屋のおじさんにレートを尋ねにいってもらったら全然ちがう額を提示していた。

できればここは使ってほしくない。


~~~~~~~~



さて、それではボリビアへと走りだそう。

国境へは2度ほど見に行っていたので、道や景色はわかっている。

きつい上り坂、
吠え立てる犬、
それでもすぐに到着した。


イミグレーションオフィスへ。
ほかの旅行者はいない。

審査官に話しかけてパスポートを渡す。

チェックして数秒、ものすごく険しい顔をし始めた。
そして
「どうしてこんなに長い間ペルーにいたの?」
と問われる。


そう、自分はかれこれ2年半ちかくもここに滞在していたのだ。
ペルーは最初に言い渡される滞在日数(自分の場合は183日)をすぎても、出国時にペナルティの料金を払えば問題なく出国できる。
そう聞いていたし、ペルーの国のwebサイトにも書いてあった。

しかしこんなにも怪訝な顔をする審査官たち。



これは……怒られるのでは?



「えっと、いやー色々と問題が発生しまして。パソコンが壊れたり、自転車なんて3回くらい壊れましたし、あと歯医者に行ったりとか……」

審査官
「あのね、料金は去年値上がりしたのよ。それで、」


どうやら怒られているわけではないらしい。
むしろ、こちらのことを心配してくれているようだ。



よくわからないが、前は1日1米$のペナルティだったけど、今は1日4.15ソルになったのだとか。

つまり、100円から150円弱になった、と。


んー、あんま変わんないね。


もしくは滞在超過分300日までは1日1$で、それ以上は値上がりするという意味だったのかもしれない。
レシートに300日という日数が書かれていたから。

このあたりがよくわからなかった。



で、銀行に行くために一度ユングーヨまで戻り、またイミグレへ。
このあたりの手続きは以前からほかの人に聞いていたので想定内だ。


時刻は昼。
ちょうど団体の旅行者とぶつかり、かなり待たされてしまったが、審査官たちは丁寧に接してくれた。

ここで、ここには書けない秘密のやりとり。
そして無事出国成功!


ボリビアの入国もすんなりできて、いよいよ新しい国へ入ることができた。





    ↑遺跡のようなものがお出迎え↓






チチカカ湖にむかって伸びる滑走路。



とても飛行場に見えないけど、良くないですか? これ。
なかなかロマンあふれる景色だと思う。


    ↑ちゃんと飛行場のマークも



    ↑角度がやばい道路標識。グリップがすごすぎる



    ↑光る湖



最初の町はコパカバーナというところ。

高校時代に吹奏楽部で『コパカバーナ』という曲を演奏したことを思い出す。
陽気な曲調とは裏腹にかなりくらい歌で、
簡単に言うと
「ダンサーに恋をした男性が彼女のファンによって殺されて、コパカバーナでは恋をしちゃいけないよ」
という歌詞だった。

しかしその曲の舞台とここは関係ないようだ。


    ↑町の入口



    ↑入ってすぐに見つけたきれいな廃墟


チチカカ湖に寄り添うようにたたずむ小さな小さな観光街。

じゃあさっそく宿探しにいこう。
前にアルゼンチン人のチャリダーに教えてもらったホテルでいいかな。


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人生初! めちゃくちゃ不安な海外の歯医者に潜入 Yunguyo


風邪を引いている間に虫歯になってしまったようで、歯医者に行くことにしました。
ペルーを出てしまうとそれぞれの国の滞在日数がけっこうギリギリになってしまいそうなので、ここで治してしまおうという魂胆です。


ホテルの人の勧めにしたがって町の小さな歯医者へ。
設備はかなり不安ですが、ペルーのいなかの歯医者って、えてしてこういうものなのでしょうか。

さっそく診察してもらいます。
奥歯が虫歯になっていて料金は60ソル(2150円)になるけど一日で治ると告げられました。
それなら、と承諾して治療開始。

麻酔をして削って詰め物をして、おしまい。
どうやら虫歯自体はそこまで進行していなかったようで、すぐに終わりました。

ほっと一息。
海外で初めての歯医者だったので、緊張と値段、そしてその腕がとても心配でしたが、無事に終わって安心しました。



……しかし、麻酔が切れてからどうもまだ痛い。
しかも前回よりも痛みが増しているではありませんか。


そんなわけで、今度はホテルの姉(前回ワティアに連れていってくれた人)に付き添ってもらってもう一度行ってみると、

「歯茎の中のほうに虫歯があるようなので別のプロフェッショナルのところに行きなさい」

と言うではありませんか。

レントゲンを撮って歯茎を切らないといけないのだそうです。



すぐ近くにそのプロフェッショナルな歯医者があるようなのでそのまま行ってみました。
今度はもうちょっとマシな設備で、昔の日本の歯医者にちょっと似ているようです。

話を聞くと、先生は優しく
「ちゃんと虫歯のところをきれいにすれば大丈夫だよ」
と言ってくれました。
値段は20ソル(700円)。

どうやらさっきの歯医者はハズレなところだったようです。



かなり良くなったのですが、それでも痛むのでもう一度行くと、では神経を抜きましょうという話に。
よくわからぬままゴリゴリと歯をいじられ、もう2回来て痛みがなければ終了です、と言われました。
その日数、4日間。


はっや。


この先生はとても丁寧に接してくれて、料金もラストの日だけもう一度20ソル払えばあとは無料でした。
お釣りがないみたいだったのでチップとして+10ソル渡すことにしたのですが、先生の手持ちの5ソルを返してくれました。


別日についてきてくれた姉が
「あそこ(最初の歯医者)はひどかったからクレーム言ってお金を少し返してもらいましょうよ。私が話をつけるから」
と言ってくれました。

が、結局行かず。

ま、治ったみたいだし、まあいいかな。



今回はとくに張る写真もないので、以前雪が降ったときの町の様子を載せておきます。
ここでこんなに雪が降るのは珍しいらしいです。
異常気象なんですね。








ついでにおまけ。
ホテルで飼われている子ネコのココです。
Coco Loco (ココロコ)「おばかなココ」と呼ばれていました。




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ペルーの焼き芋、ワティア体験レポート Pomata



ここ数週間ずっと風邪でダウンしていたのですが、ひたすら寝ては起きるをくりかえす自分に対し、ホテルを経営する家族の人たちは「太陽にあたって少し運動したほうがいい」と思ったらしく、ポマタ村まで日帰りのお出かけに誘ってくれました。

おいしい芋をご馳走してくれるということで、ここのところ1食しか食べてなかった体をいたわるため、行ってみることに。

今回はそれを簡単めにレポートしたいと思います。




朝起こされ、ホテルの家族のなかでは姉にあたる人と一緒に外へと出ました。
鼻水が止まらないため、ポケットにはトイレットペーパーを準備。

コンビと呼ばれる小さなバスを乗り継いでポマタ村へ逆戻りします。
そこには彼女の別の兄弟がすんでいるという話でした。


    ↑芋で遊ぶネコに別れを告げて出発



村のはずれにあるガラス張りの家へ向かうと、小柄な女性が迎えてくれました。


    ↑こんな家


    ↑中からはこんな風


風邪を引いていることに気づくとのど飴をどっさりくれ、家の屋上からの景色を見せてくれたりとホスピタリティ満載。



畑には、石が積まれた小さなかまどのようなものが。
ワティアというこれを使って芋を蒸すのだそうです。





火起こしに手間取っている間、今度は兄がこちらへ来てカヤックに誘ってくれました。

「風邪がひどくなるかもしれないからどうかなぁ」
という兄でしたが、せっかくだから行ってみることにしました。



チチカカ湖の小さな埠頭のようなところで息子が2人いて、カヤックを2艘泊めてありました。



さっそく乗ってみることに。


    ↑脚を入れる空間がある


これがもうかなり難しく、ちょっと動いただけでカヤックは横に倒れようとします。
この日は風が強く、波で勝手に沖へと流されると、戻れなくなるんじゃないかと恐怖心をあおられました。

方向転換のためパドルを水面に落そうとしたならば、バランスはそちらへと傾き、これまた転覆の危機。
八方ふさがりです。


つんでる。
たすけて。



    ↑波にさらわれている様子


    ↑兄は遠くまで行ってしまった


そんな状態だったのですが、すぐにパドルの扱い方やバランスのとり方がわかり楽しくなってきました。

こんなに短時間にできるようになるなんて、あれ、これ天才なんじゃないの?


もうちょっと楽しみたかったのですが、寒いのでそのまま戻って終了。

「もう一度乗るかい?」
と聞いてくれる息子たち。
乗りたいのは山々ですが、咳が出てきていたので断ってしまいました。


    ↑カヤックを引き上げてくれる息子たち


    ↑カヤックで楽しむ息子たち


    ↑このあたりのチチカカ湖も結構きれいである


    ↑途中、羊飼いが羊に水をあたえるためにやってきた


今回はあまり体験できませんでしたが、きっとまたどこかで乗ってみたいと思わせられるいい経験となりました。



途中からカヤック乗りに参加していた小柄な女性とともにガラス張りの家へと戻ります。
すでにかまどには火がつけられ、その上から土がかけられていました。



新たな男性が2人。
これまた別の兄弟と、小柄な女性の夫だそうです。

その兄弟は昔5年ほど日本で自動車関連の仕事に従事していたらしく、すこしだけ日本語を話すことができました。
しかし間違えるのが恥ずかしいらしく、もう忘れてしまったと言ってあまり話してはくれませんでした。


みんなで会話しながら芋がふかされるのを待ち、時間が来ると一斉にワティアのところに集まりました。
土と石を掘りながら芋を探して取り出し、ときどきつまんでいます。

少しもらって食べたところ、砂でじゃりじゃりしていますが、なるほどおいしいです。
ミネラル豊富。

つい先ほど聞いた「この辺の人たちはワティアが好きなのだ」との話通り、みんな楽しそうに芋ほりを進める一行。


    ↑ネジネジしているのは「オカ」と呼ばれる甘い芋


鍋一杯になった芋にちょっぴりスパイシーなソースをつけて、地元産のチーズやステーキと一緒に食べます。
やっぱり土だらけだけど、うん、たしかにおいしい。





食べ終わったころには日もしずんで少し肌寒くなってきました。
風邪がひどくなったのか具合が悪くなり、一人家のソファーで寝る自分。


    ↑その間男性陣はロッククライミングの降りる版をやっていた。高いところが苦手な自分はどちらにしろ参加してなかった


目が覚めると、いつの間にか全員パンとコーヒーという軽い夕食をとっています。
どんだけ食べるんだ! と思いながらコーヒーをいただき、みんなで写真を撮ってバスで帰りました。



翌日、風邪がひどくなり一日中寝ていましたが、そのまた次の日にはかなり良くなっていました。


ワティアのおかげでしょうか。
それとも風邪をみんなにうつしたおかげなのでしょうか。


……いや本当にうつったかどうかはわかりませんが、改善してきたようでよかったです。

今度はちゃんと元気なときに、またカヤックに挑戦したいと思います。

いつか。どこかで。


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国境付近はサイクリストが多いのか!? ~ Yunguyo





ポマタ村の宿を出るとき、そこにはだれもいなかった。
鍵もついてない普通の部屋なので返すものはなにもないのだが、軽く挨拶でもしたかった。
起きるのが遅すぎたのだ。

そのまま宿を出て、村を飛び出した。



くだり坂に沿ってしばらくポマタ区域の家や市場がつづき、そこをこえた先も家が点々としていた。
道はほぼ平ら。
とても走りやすい。

そしてあっという間に、曲がらなければならない曲がり角に到着した。



    ↑Yunguyo(ユングーヨ)に向かっています



    ↑曲がらなければならない曲がり角の看板


なんか、考えていた道と全然違うんですけど…

想像ではもっとなんにもない荒野で、もっと遠くて時間がかかるものだと思っていたのに。
大体どこも国境ちかくというのはさびれているものだから。

でもまあ走るのには好都合なので、肩透かしを食らったというだけでそれで困ることもない。
むしろ歓迎。
これだったら早めに国境近くまで着きそうだ。



小さな谷間を抜けると、さっそくチチカカ湖と再会した。







太陽を反射した湖は白くひかってきれいだ。

その先直線の道路が伸びていた。
ボリビアの入口、そしてその奥までつづいているのだろう真っすぐな道。




Cuturapi(クトゥラピ)というかわいい名前の村があったのだけど、さっさと抜けてしまった。
見てみたい気持ちもしたのだが、先を急ぐことに。




黄金色の畑のあいだを抜けながら走っていると、




今日もまたサイクリストのカップルに出会った。
この辺は自転車の長期旅行者が多いのだろうか。

今回は自転車を停めて話しかけてきた。
2人はアルゼンチン人らしく、ボリビアの最初の町コパカバーナのオススメのホテルと、それから首都のラパスにあるサイクリスト専用の宿を教えてくれた。


    ↑勧められたコパカバーナのホテル

ラパスのほうは「casa de ciclista」というところで、後で調べたところ住所などは公開していないらしい。
「泊まりたかったらメールして」と書いてあった。

半分ボランティアでやっているらしく、Airbnb とホットシャワーのあいのこといった感じだろうか。
自分はあまりおしゃべりが得意ではないので、歓迎されないかもしれない。
連絡してみるかどうかはおいおい考えよう。



夕方くらいに着くかと予想していたユングーヨへ、まだ明るいうちに到着。



ホテルを見ながら中心部へと入っていく。



    ↑広場のひとつと教会↓




いくつか宿を見ていった結果、ここ Hostal Amazonas(オスタル・アマソナス)に泊まることに。
10ソル(350円)と値段は安く、ネットも使える。
シャワーは温かいのが出るが、別途3ソル(105円)かかってしまう。

何も言われなかったが、おそらくもっと安い部屋もあるみたいだった。
でも結構いい部屋をあてがってくれたみたいだし、10ソルでも十分安いのでオーケーオーケー。


    ↑外見。役所のすぐ裏にある



    ↑部屋の鍵である南京錠には「地球」となぞのメッセージが


    ↑中はこんな感じ。古いアパートみたい



    ↑この Isabel(イサベル)も良さそうだったが、現在ネットはなかった


今日は土曜日。
明日は日曜日で銀行が休みだ。
出国するときに銀行によらないといけないはずなので、とりあえず2泊しよう。


さっそく町を見て回る。


    ↑夜はライトアップされる広場の噴水


    ↑朝の広場

 
    ↑ちょっと中のほうにあるメルカド(市場)


国の端っこにあるところなのでもっとこじんまりとした小さな村だと思っていたが、意外と大きい。
しかしどこか暗いというか、静かな町という印象だ。

ほかの同規模の町よりは活気や明るさが欠けている気がする。



教会が開いているタイミングがあったので、チラッとのぞき見。



石造りの伝統的な教会という雰囲気だった。

見どころがあるわけではないが、物価もそれほど高くなさそうだし、治安も悪くなさそう。
ゆっくりできそうなところだった。


ので、ゆっくりしてきます。


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湖と雪山の再会 ~ Pomata




もう一泊しようか…

などと考えながら、
いやいやそれはできないと勢いに任せて荷物をつめて背負い、倉庫から自転車を出してもらった。

気に入っていたフリの町も出発だ。



坂を下りて門のところまで戻り、そこから上り坂。



息を切らしてのぼっていると、家を作っている作業員に
「ちょっと休憩していきなさい。坂はまだまだつづくからね」
と言われた。

柱に土砂を流し込んでいるのを眺めながらちょっと休憩。





しばらくのぼると、



なんとフリの広場から直接のぼってこれる道を発見。
この道を使えば10分程度でここまで来れたことだろう。

これまでの1時間半は一体……

ちびまる子ちゃんのナレーションが聞こえそうな状況に、休憩の頻度も増える。





坂のとちゅう、街はずれのカフェがあった。
おもしろそうだったので入ってみることに。






中から人のよさそうなおじさんが来て、

「コーヒーがほしいの? いまはインスタントのやつしかないけどいいかな。ええっと、うん、ミルクもあるよ」

と家のなかへ迎え入れてくれた。



カフェというよりはお土産屋だったみたいで、工芸品やお菓子などが棚にずらりと並んでいる。






トイレは使わなかったがとてもきれいで広いようだった。
この辺できれいなトイレというのはなかなか珍しい。




写真を撮っていいか尋ねると、飾ってあるキヌアの説明をしてくれた。
各種色が違い、地域によって食べられるものが違うようだ。




「どうやってスペイン語を学んだの? なかなか上手いね。あとは流暢に速く話せればもっといいけど、それでも十分だよ」

と言ってくれた。

「いやーでも知ってる単語量は少ないし、文法も全然わからないからホントはちゃんと勉強しないといけないんだよねー」

と返答。


長い間スペイン語圏にいたおかげで多少は話している内容がわかるようにはなっていたが、それでもうまく意思疎通を行うことは難しい。
やはりちゃんと勉強しないといけないのだと思う。

地域や国が変われば方言のようなものが移り変わり、せっかくマスターした言葉も覚えなおしになってしまうのが悲しいところだ。

たとえば、このあたりのレストランでは"ここで食べる"ときに para mesa (パラ・メサ)と言うのだが、それまでは para aqui (パラ・アキ)をみんな使っていた。
テーブルという意味の mesa がわかればすぐに意味は理解できるし para aqui も普通に通じるのだが、そういった事前知識がなければきっと混乱していただろう。
このように同じ国で同じ言語でも表現が異なっているのだ。

余談だが、para は英語の for に近い意味で、aqui は「ここで」という意味。



さて、お礼を言ってこの店とも別れ、先を急ぐことに。
おじさんの話ではもう少しのぼればあとは下りがつづくのだそうだ。




その言葉通り、のぼりきった後には湖が見え、そして雪山。
あとはなだらかな道がつづいていた。




    ↑坂を登り切ったときに見える雪山が"やった感"を増幅させる



    ↑湖と雪山のコンビってすごくロマンがあっていいですよね


途中、荷物を積んだサイクリストのカップルとすれ違う。

金色っぽい髪をもっていたのでドイツ人だろうか。
それともアルゼンチン人かもしれない。
軽く「こんちは!」と叫んで止まることなくお互い通りすぎる。




夕方になり、Pomata(ポマタ)が見えてきた。
小さなところだが、宿はいくつかあるようだ。








クタクタになりながら広場を歩いていると、声が聞こえてくる。

「あら、中国人(アジア人)ね。疲れているみたい」

この場合は別に差別とかではなく、おそらく物珍しかったのだろう。
こんなところに外国人が来るなんて。

こっちの人の多くはアジア人を区別できない。
日本人だってそうでしょう?
その人がアメリカ人なのかイギリス人なのかはたまたヨーロッパの国のどこかなのか、南米のどこかなのかアフリカなのか、それらを的確に当てられる人はほとんどいない。


ホテルのひとつを訪ねてみた。
値段は40ソル(1400円)と、このあたりでは驚きのお値段。

ビックリして、
「この辺りは20ソル(700円)とかその辺の値段だって聞いたのだけど」(実際に先ほどのカフェのおじさんが15~20ソルくらいだと言っていたので)

と話を振ってみると、話し合いのすえ20ソルにしてくれた。


部屋は先ほどまでだれかが使っていたような部屋だった。
服をかけるポータブルのハンガーラックや作業台、延長コードなどがあった。
広くて使いがってがよさそうだ。





どうやら現在改装中らしく、まだ部屋はあまり準備できていないらしかった。
でもこれはこれでなんだかホームステイみたいで嬉しい。



立派な教会があったので見に行った。



    ↑細かい彫刻が入口にびっしり↓





    ↑中はこんな感じだった


チチカカ湖沿いの村はどんなに小さなところでも大きな教会が建てられているので見ごたえがある。

とくに自分は教会を見るのが好きなので、この地域を走っては止まり探索するのが楽しい。


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フリはオススメの町! Juli




腹痛・故障と色々あったが、とうとうイラベを出ることができた。


道はチチカカ湖からすこし外れ、しだいに山がちになっていく。
赤くごつごつした岩場の横を通る。













この辺には遺跡があるようだが、どこだかわからなかった。
看板だけが健気に立っている。



そこには小さな塔が建っていた。
太陽の絵が描かれていたので、さしずめ「太陽の塔」なんて名前がつけられているのではないだろうか。
プレートをはめると隠し道が… なんていう仕掛けはなさそうだ。







真上の空の色がものすごく青かった。
黒に近いと言ってもいい、濃い青。
宇宙に近いからなのかもしれないと思うと感慨深い。
自然の神秘に近づいたような気がして、すこし嬉しくなる。


移動しながら自転車前方にあたるギアをいじっていたら、一番軽い1速から真ん中の2速へ変えることに成功した。
これでチェーンが空回りする現象も減ることだろう。

しかし、サビついて壊れかけたギアはそれ以上動かなくなってしまった。
これで坂を登るのがさらに厳しくなるだろう。


重たくなったギアで、先へと進んでいった。









途中お腹がすいたので、商店に立ちよって休憩。
そこでビールを飲んでいたおじさんグループに声をかけられた。

「日本から来たのか! 昨日ワールドカップで勝ったな!」

「ああ、vs コロンビアの? でもコロンビア好きだからね。複雑かな」
と返しておいた。
おじさんたちは「へええ」となんとも言えない返事をして、会話は終わった。



そこからすぐに見えた、坂の斜面に流れる町、Juli(フリ)。

ここもダニーさんがオススメしていたところだった。
話によると、湖がすばらしいのだという。






今日はここで泊ろう、

と坂をのぼりはじめたが、これが辛いのなんのって。
背中にある荷物と自転車、そして高度3800m、急こう配。
これがすべて疲れた体にのしかかってくる。


なんとか坂を越え、街のてっぺんへとたどり着くと、それまでとは打って変わって大変美しい街並みが広がっていた。
もっと小さな町だと思っていた。
いや、実際小さな町なのだが、これがなかなか立派な建物群。

ミュージアムもいくつかあるようで、かなり発展した町だと言えるのではないか。


    ↑ちょっと古めかしい壁や屋根もいい味を出している



    ↑教会かと思ったらここも博物館らしい。チラッと見えた中は巨大な絵が並んでいた



宿を2つほど訪れる。
その都度、道にいる人に「自転車は見ててやるから大丈夫だ」と言われた。
この町の人たちはなかなかフレンドリーであるらしい。

この前のホテルはシャワーがついてなかったので、今回はできればゆっくりできる部屋を探そう。


ひとつはネットが使えるが掃除がされてなくてちょっと高めの部屋、30ソル(1050円)。
もうひとつはネットはないがひろくて先ほどよりは若干清潔な部屋、25ソル(875円)。

2泊するからと後者を20ソル(700円)に値下げしてもらい、ネットのない部屋にしてみた。
一階に自転車を置いておける場所もあったのでありがたい。
最近自転車を改造したおかげで急激に重くなってしまったので、階段をかついで上がるのが大変なのだ。


さあさあ、さっそくホットシャワーへ…

ってこれ
全然あったかくないんですけども!?

ぬるいの度を超えてもはや冷たい領域なんですけども!!?


しかしここであることが頭をよぎる。
比較的熱い湯が出やすいペルーで慣れてしまっていたが、多くの地域ではホットシャワーにいくつかコツがあったような……

そこで、電気が流れるギリギリのラインまで水量を落としてみることに。
すると見事、熱いお湯になった!
よかった。水量少なすぎるけどよかった!!

いままでの経験が役にたった瞬間だった。



町を歩くと、学校や運動施設がたくさん並んでいるようだ。
今まで訪れた小さな町とは、雰囲気がかなり違っている。
人々も生き生きとしていて、小さいながら活気のあるところだった。


    ↑影が壁の色を反射してカラフルな道路になっていた



    ↑夕方の教会


    ↑昼間の教会



翌日、大きな音で昼に目が覚める。

ホテルを出ると目の前の広場でパレードが行われていた。
ここら辺はどこに行っても祭りをやってるな。





    ↑粉の入った風船を割り、残りは空に飛ばしているところ


    ↑見えるかわかりませんが、色とりどりの風船が舞っています


踊りを見ながら食事をし、湖へと歩を向けてみる。
ほとんど人がいない静かな湖はゆったりと波打っていた。

これってチチカカ湖、だよね。
あれ? こんなにきれいだったっけ?


プーノで見たものよりずっと透き通った水が、太陽でキラキラ光っていた。






    ↑この透明度。プーノではあんなに黒くよどんでいたのに





    ↑奥に見えるのがフリの町




海岸には観光用のバギーが並んでいて、親子がそれに乗ってはしゃいでいた。




    ↑これだけ見たらただのきれいな海だもんね



ということで、自分はこの町が気に入りました。
フリはかなりオススメの場所です。


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【ミッション:ダニーの姉を探せ!】Ilave


朝。
自転車の鍵を開けて外へ出ると、ホテルのおじさんが不機嫌な顔で立っていた。

「鍵は?」

カウンターのほうを指さす。
彼は気にとめる様子もなく頷いた。
短いさよならを言って、自転車とともに立ち去った。



アコラの村からは、ずっと平坦な畑の道がつづいている。
動物の毛並みのような黄色づいた草の流れは美しいが、ほかになにかあるわけでもなかった。
遠くの景色を見ながら、ただペダルをこぐ。









2時間弱で次の町、Ilave(イラベ)までついてしまった。
予想よりもずっと早い。

この地域のcapitalであるらしいこの町。
capital… 州都と言えばいいのか、県庁所在地だとおかしいし、いつもなんと訳していいのかわからなくなってしまうのだが、とにかくここの県では一番大きいらしい。
以前ダニーさんが話していた、彼の故郷だ。





    ↑町の入口に料金所が。自転車は顔パスです



    ↑入口にある門


朝食を食べずに走ってきて現在昼前の11時。
腹が減ってフラフラだ。

入口にあった食堂でちゃちゃっと食事。
ガスを交換に来た兄ちゃんに歓迎され、まだ朝食しかないということで3.50ソル(122円)という安値で食べることができた。


何件も回ってみたが、なかなかいい宿が見つからない。
ダラダラしているうちに自分のホテルマイスターの能力はガクッと落ちてしまったようだ。

結局最初のほうで見に来たKatyというホテルへ。
バスルームは共同だが部屋はきれいで広く、ホットシャワーとwi-tiがついている。
トイレも毎日掃除しているらしく清潔だった。
25ソル(875円)を20ソル(700円)に値下げしてもらうことに成功。

熱いシャワーを浴びて一息つくことができた。



まずはダニーさんが言っていた彼の姉か父を探してみよう。
なんで会わせたいのかはわからないが、とりあえずメモをもらってしまったので、なりゆきで。

メルカドを探し、数人に訪ねてようやく発見。
開口一番に、
「なんの用? なんで会いに来たの?」
ってこっちが聞きたいわっ!
でもまあ知らない人がいきなり訪ねてきたらそうなるわな。

ダニーさんに電話してもらうと態度は一変。
笑顔で10ソル(350円)くれた。
これでチキンでも食べなさい、と。

うーん、お金をもらいに来たわけじゃなかったのだけど…
拒否したのだが、ダニーさんが渡せと言っているらしい。

でもまあ正直これはめちゃくちゃ助かるし、せっかくだからもらっておこう。


その後、街探索。
歩いて回ったのだが、なんだかお腹の調子が悪く、すぐに帰った。


    ↑コーヒーマシン。プーノにもあったけど、こういうのは中南米では珍しい気がする



    ↑翌日はお祭りだったらしくてパレードが行われていた。…ごめん、あんま興味ないや



さて、休憩も十分したしそろそろ出発!
と思いきや、腹痛がひどくなりあまり動けなくなってしまった。
10分も歩くとクラクラしてくる。

道中マシュマロを汚い手で食べたからだろうか。
それともアコラの食堂が悪かった?
いや、イラベ入口で食べた所のせいかも。
ドリンクボトルがカビてたとか…?

思い当たる節はたくさんある。
とにかく今は出発できそうにないので、休むことに。

プーノ周辺の地域のホテルではトイレットペーパーがつかないことが多いので、買いに行くのも一苦労だ。



4日ほどでだいぶ良くなってきたので、ようやく出発!
と思いきや、今度は自転車バッグのフックが完全に壊れてしまっていた。
プーノでもらったやつだ。
すぐに気がついてよかった。


一度イラベに戻り、今度は別の Don なんとかという宿へ。
実は先ほどの宿はネットがつながらなくなってしまっていたのだ。

パソコンが壊れたのかと思ったが、どうやらwi-fiのせいだったらしい。
こっちのホテルではちゃんとつながった。

15ソルの小さな部屋でシャワーのない共同トイレ。
夜には水が止まってしまったが、ネットの調子はすこぶる良好だった。
ここの人たちの対応はよさげだが、部屋はあまりいいとは言えない。


メルカドを探索しS字フックを探すが、この町にはないらしい。
話を聞くと、フリアカまで戻らないとないのだそうだ。
S字フックって貴重品なんだね。

自転車屋に行って太い針金をもらうが、これでは固定できずうまくいかない。
ゴムバンドがあったのでそれを購入。
なんとかなりそうだ。
かばんを開けるのに時間がかかってしまうが、とりあえずは先へ進めるだろう。


ゴムだと紫外線ですぐに劣化してしまうので、ズボンを留める革のベルトに切り替えたほうがいいかもしれない。
フックの代用品が見つからなかったらそうしてみようか。

などと考えながらホテルへと帰った。




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不安な装備でチチカカ湖をぐるっとまわり先へ Chucuito、Acora


お世話になったホテルのオスタルマヤを出て、セビーチェ屋のダニーさんに挨拶に行く。

この日もセビーチェをおごってくれたダニーさん。
彼のセビーチェもこれがラスト。




故郷の Ilave(イラベ)に父と姉がいるから会っていくといいと住所を渡してくれたが、会ったところで何を話していいのか。
そう言うと、「イラベのことを色々知ってるし、連絡しとくから」とのこと。
とりあえず住所の書かれた紙をメモ帳にはさんでおいた。


一泊させてくれたハビエルさんには連絡できなかったが、もう昼をすぎているので急がなくては。


通り道にあったネット屋で Dota2 のミニキャラが描かれている看板を発見。

やっぱりペルーでは Dota2 が流行っているのだなと思いつつ、自分の好きな不人気の beastmaster がセンターに描かれていてちょっと嬉しい。

ネット環境がいいと、たまに twitch で Dota2 をやってます。↓
https://www.twitch.tv/zecser




ここのところ天気が悪く、通り雨が毎日つづいている。

現在は乾季なのでちょっと変な天気だ。
今日も山のほうに雲がかかっていた。


チチカカ湖の周囲をまわるように自転車を進める。




    ↑プーノ出口


元自転車乗りのルイスさんに改造してもらった自転車は重く、小回りが利かない。
運転の感覚が今までとはかなり違ってしまっている。
手を放すと重くなった前輪が勝手に逃げてしまうので、気をつけなくてはならない。

後部の荷物は改造のおかげで安定しているので、そのストレスが取れたのは大収穫だろう。

これまで調子の悪かったギアもさらに悪化し、数回転に一度ペダルが空回りしている。

…こんな状態で大丈夫なのだろうか。


関係ないが、現在使っているこの PC も壊れかけである。




道はなだらかで走りやすかった。
とちゅう小学生にからかわれながら、休憩をはさみつつ進んでゆく。
マシュマロを食べたりスポーツ飲料を飲んだり。




隣村の Chucuito(チュクイト)に着いたのは2時ごろだっただろうか。
小さなところだったので通りすぎようとしたのだが、石造りの門がちょっと気になったので軽く立ちよることに。



石垣でできた道からはみ出るサボテン。
古めかしい教会。

なかなか美しい村だった。

高そうなホテルが2軒並んでいたので、観光地になっているのかもしれない。


    ↑石の門から水が出ている


    ↑村の教会のひとつ。塔のベルと屋根に生えた草が映画やアニメの世界のようなファンタジー感を醸し出していた↓




    ↑村の中からも湖が望める



    ↑中心部の広場



    ↑ゴテゴテしたホテル。きっと高い


村を出てまた道なり。
狭い道路だが車どおりは多い。
プーノからボリビアへと向かう道だからなのかもしれない。











小さな村を通り抜け、その隣の町、Acora(アコラ)に到着。
暗くなってきたし、今日はここらへんで泊っておこう。



目についたホテルへ入ったが、なんだかそこのおじさんが怒っているような態度だった。
ほかにもホテルを探したがそこしかなかったため、しぶしぶ部屋を頼んだ。


話してみると意外と気さくな感じだったが、偏屈な様子はぬぐえなかった。

「最近は雨がつづいているな。変な天気だ」

とおじさん。


自転車をチェックすると、ルイスさんにもらったかばんのフックが1つすでに外れてしまっていた。
さっそく壊れたか。
本当にこの先大丈夫だろうか。


夜、ベッドのなかで、冷たい雨が屋根をたたく音を聞いていた。


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