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タイヤとおじさん / 雲に沈んだ世界 Joyagshi




テントから出る。

サッカー広場は朝日の強い光にてらされて明るい。


時刻は8時。
いつもよりずっと早起きだが、ここはホテルではなくキャンプをしていることを踏まえるとかなり遅いほうだ。


街中でのキャンプは人が起きてくるまえに出発しないといけないというルールが自分のなかでできあがっている。

邪魔になる前にはやくテントを片付けないと。





昨日の話では、このさきののぼりを終えたらChunchi(チュンチ)まではくだりが続くらしい。


実際に走ってみるとその話とは違いくだりの多いアップダウンだったが、そこまで苦労せずに走ることができた。



苦労があったとすれば、虫が多いことだ。

だいぶ標高が下がったのか、血を吸うやっかいな小さい虫がまた増えたのだ。


蚊ではない。
パッと見た感じ小バエのようなもので、体のまわりをつきまとい、肌に止まっては血を吸うのだ。

吸うのがヘタなのか大口なのか、吸われたところが赤くプツッとなり、そこから血が少し出ることもある。

そしてめちゃくちゃかゆい。


虫除けの薬はアラウシで忘れてしまったから、対策はやつらが追いつけないほど速く走るのみである。




山の谷間を見下ろしながら走行できるので景色はとてもきれいだ。


    ↑左に見える山腹部の道路を走っていく



    ↑くだりはこんな感じ。ぽつんと浮かんでいる雲がいい雰囲気



    ↑崖下には線路とトンネルが見える



    ↑この谷間の
                ↓


    ↑この部分がすごく好き




そんな風景を見ながら、いつの間にか入ったチュンチ。


    ↑こんな夕焼けが見えるんだってさ


    ↑そこからの見晴らし。ほうほう、なかなかいいんじゃない?




そんなに大きくはないが、色々そろっている。
ホテルもあるし、スーパーはないかもしれないが商店や薬局はたくさんある。

リオバンバから出てきてからというもの、現れる村の規模がしだいに小さくなっていっている。

というか今までが異常だったのかもしれないが、
とにかくそんなわけでこの先これくらいの規模の村がないと思うので、ここらで一休みして必要なものをそろえたほうがいいかもしれない。

荷物もなくなったばかりだし、ちょうどいいのではないか。



そう考え悩みながら、昼ご飯を食べてそのまま村をスルー。

まだ昼の12時だし今日はまだまだ走れそうだったので、ここで止まるのはもったいない気がしたのだ。


通りすぎたら通りすぎたでとてももったいない気持ちになる。

時間を取るか体力を取るか。
こういうときどうすればいいのかわからない。





川をわたって大きくグルッとUターン。
来た方向、つまり北へ向かって山を登っていく。


戻ってしまうがいいのだろうか。

不安になったが、トイレを借してもらったレストランの人の言うことには、こっちであってるとのこと。



そこを出てすぐに後ろから声をかけてくる男性が一人。

彼は大きなトラック用のタイヤをゴロゴロ転がしながらこちらへ向かってくる。




こちらがスペイン語を話せないと知って知らずか、ジェスチャーと擬音を多く使ってコミュニケーションをはかろうとしている。

よくわからないが一緒に行こうということらしいので、その人の後ろをついていくことに。


ちょうど登り道で自転車を押して歩いていたところだったので、スピードは同じくらいか、すこし向こうのほうが速いくらい。




通りすぎてゆく車にかん高い口笛を吹いてあいさつしながらタイヤを転がしていく男性。

自分の家についたようで、タイヤをポンと門のところに投げころがす。

が、その後もまだついてきてくれる。



日本のことや日本産の車のこと、自転車のことなどを話しながら、後ろから自転車を押してくれた。
これは本当に助かった。

進むスピードが1.25倍くらいに上がり、体力の消耗もすくない。




しばらくして男も帰ってしまい、一人で自転車を押す作業に戻る。

自転車の体重とザックの重さがのしかかり、かなりきつい。



やはりここから村は極端に少なくなった。

家はちらほらあるが普通の民家だけだし、集落があっても道を外れたところにあるのでそこまで往復しなくてはならないことを考えると億劫だ。



空腹に耐えながら進むと、やっと店の登場。

あまり品の種類はないが、この際なんでもいい、チョコのついたスナック菓子とアイスを購入してむさぼる。




全部食べてあることにきがついた。

寒いのである。


さっきまであんなに暑かったのに、今度はものすごく寒い。
そういえばあの虫もいなくなっている。

防寒として急いで手袋とスリーブを付けた。


天気もくだり坂。
雨が降り出しそうだ。




    ↑ピンクと黄色が混じった花がきれいだったので激写



    ↑ほら見て!なーんもない。こういうところはすごく好き



    ↑この道にはこのようなゴミ箱がたくさん設置されている




    ↑なんだか高い山が見える



    ↑Puñayプニャイという名前らしい。有名なところなのだろうか



この看板があるあたりでついに雨が降ってきたので、バス停で雨宿り。

分厚い雲がかかっている。
このなかに入っていかなくてはいけないのか。

なんとか晴れてくれないだろうか。




雨はとりあえず止まってくれた。
それからまたひたすら山を登る。

時間も体力も空腹もかなり厳しくなってきた。
あたりが青く暗くなってくる。




プニャイ山と同じくらいの高さに来たころだ。

目下に雲の海がひろがる世界が飛びこんできた。





これがすばらしくきれいだった。





いつの間にか雲のうえに出てしまっていたということか。
奥は青空が見えている。





山の横から奥がすべて雲海。
雲に沈んだ世界。





これにはかなり感動してしまい、写真を何枚も撮った。

見てわかる通り、かなり暗い。
ゆっくり見ていたいが急がないと。




そこからくだり坂をおり、腹が減ってフラフラになりながら一軒の商店へ。

「なにか食べ物はないか」

と聞いたところ、

「ここにはないけど、この先のセントロ(中心部)なら1軒あるよ」



え、ここ町なの?

よく見ると先に建物の群れが見える。





よかった!
これで食事と寝床が確保できる!



そこはJoyagshi(ホジャグシ)という、なんとも言いにくい名前の村。


急いでその村の中へと入り、村に一軒しかない小さな食堂へ。
料理を提供してくれるおばあちゃんが優しい。


それからとなりの店で飲み物を買うと、そこのおばちゃんが

「ここに泊まるならホテルはないからそこの広場にキャンプしたらいいんじゃない? 屋根もあるしすぐ裏は警察があるから安心だよ」

と言ってくれた。


道をゆくおじさんも、
「そこに共用のトイレがあるからここでキャンプしたらいいんじゃないか」
というようなことを教えてくれる。





こうしてこの日もキャンプ。

前日とは違いかなり人目のあるところで居心地はよくなかったが、夜に降る雨も防ぐことができて文句はない。


深夜にスリっぽい3人組の子どもがいたが、ナイフを持って見張っているうちに警察が来て逃げていった。



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