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泊めてもらおうとしたら、猟銃を持ったおじさんが来たって話


早朝にホルヘさんがやってきて、

「昼に戻るから、昼食を食べてから出発しなさい」

というようなことを言っていたように思う。
半分眠っていたので確証は持てない。


ホルヘさんにさよならを言うためにも待っていたのだが、昼まで待っても帰ってこなかった。

これ以上待てないので、そのまま発つことになった。
残念だけど、このままじゃもう一泊することになる。

すぐ先にホテルを見つけ、昨日は農家の家に泊まらなくてもよかったことを知る。
迷惑をかけてしまった。
教えてくれたらよかったのにね。この先にホテルがあるよって。



途中、ポツンと建っていた食堂で目玉焼きの昼食。
そこの男の子が物欲しげな目をしていたので、ホルヘさんからもらったオレンジをわけてあげた。

人からもらったものをあげるのはあんまり褒められたことじゃないのかもしれないが、自分のものを分けてあげて喜んでもらえるのは悪い気はしない。



30kmほど走ったところで、向かいから赤いチャリダーがやってきた。
手を振ると、たいそう笑顔でこちらのほうへ向かってきてくれた。



ドイツ人だという彼は英語がペラペラだ。
英会話もそこまで得意ではないが、使う機会があまりないためなおさら言葉が出てこないのがむずがゆい。

ちょっと世間話。
彼の情報によると、この先30km先まで町はないらしい。


あれ?
さっきの食堂では、「あと1時間くらいで次の町へ着くよ」って言われたんだけどな。


しかし、現地の人はちゃんと地理を理解していない人も多い。

もしも読者の皆さんが、突然道ばたで出会った旅行者に、
「4つ先の駅まで自転車でどのくらいですか?」
と聞かれたとします。

正確な距離数や時間を答えるのって難しいでしょう?

つまり、実際に走って見てきた人のほうが正しい可能性が高いのだ。


しかし、人間そう賢くなることは難しいもので・・・・・




また食堂があったので、もう一度情報を仕入れてみる。


家の修繕をしているおじさんたちは、次のPalpa(パルパ)まで25km以上あるしそこまで何もないからここで泊まれば? と言う。

食堂の親子は、あと30分くらいで着くからすぐ近くだ、と言う。


さて、どちらを信じるか。


人数差でも人間性でも話の内容でも、完全におじさんたちのほうが正しいように見える。
しかし、人は都合のいい情報を信じたくなるものだ。

現在もう日暮れ近く。
食堂の人たちはなんだか感じが悪く、ここには泊まりたくない。


しばらくどうするか迷っていると、おじさんたちの一人が「7km先にも同じような食堂があるよ」と発言した。
隣のおじさんが「本当か?」とか言ってるので信憑性に欠けるが、もうそれに賭ける。
そこまで走ろう。


    ↑ドイツ人のサイクリストやおじさんたちの情報が正しかった


その情報は古かったのか嘘だったのか思い違いだったのか、10km以上走っても何もない。

刻々とあたりは暗闇に沈み始める。




あたりがもう見えなくなるという時刻に、一軒の大きな家が建っているのを発見。

小さいプランテーションかなにかだろうか。
犬が3匹吠えながらこちらに向かってくる。
家は明かりがない。


この情報でわかることは、
飼い犬がいるのはつまり、人がいる可能性が高いということ。


入り口付近で立ち、様子見。
犬に吠えられながら、徐々に敷地内に入ってみる。

すると暗い家の入口から男がひとり、外に出てきた。
手には猟銃。
なにか大きな声でこちらに叫んでいるが、そのスペイン語はわからない。
おそらく「それ以上入ると撃つぞ」というようなことを言っているのだろう。

今はかなり切羽詰まっているので、こちとらそれどころではない。
銃口を上げているため、撃つ気はなさそうだ。


「ここでキャンプしたいのだけど」

「だめだ」

「なんで?」

「禁止されているから」

「でもこのへんってきけんでしょ?」

「まあ危険だな」

「ここならあんぜんだよね。テントもってるよ。そこらへんでいい。わたしはキャンプするひつようがあります」

こちらがつたない言葉で話している途中で、どこかに電話をかけ出す狩人風のおじさん。


そして、

「ついてこい」

と中へ入れてくれた。


話をすると、とても優しい猟師風のおじさん。
どうやら以前人を泊めて問題が起きたようで、それからは誰かを敷地内に入れるのが禁止されたらしい。

彼はここの警備と動物の面倒を見ているらしい。
庭に鶏などが飼われていた。


テントを張るつもりが、なんと部屋に案内してくれた。

中米で見たような長屋風のホテルみたいなところへ。
その一室を貸してくれた。

そこがなんとも素晴らしいこと!



まるでホテルのよう。

中も新品同様。
とてもきれいで部屋も広く、クローゼットまで備え付けてある。

水も電気もないということで、電池ランタンと水を大きなバケツに入れて持ってきてくれた。
それから3時間だけ発電機をつけてくれ、電気まで提供してくれる。


なんとありがたい。


申し訳程度に、イカのスーパーで安くかったので買いだめしていた好物のマーブルチョコを手にいっぱい分けてあげた。
これぐらいしかできないのが悲しい。


彼のご厚意のおかげで、この日も寒さに震えることなく夜を明かすことができた。
しかも無料で!



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