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朝7時すぎに起き、8時ごろに家主にお礼を言ってそこから抜け出した。
昨日の情報ではここから9km先に町があるということなので、今日はそこで泊まろうかと考えていた。
さきに進むと料金所があり、そこには15km先にも町があると書かれている。
↑Huancabamba(ウアンカバンバ)まで15kmと書かれている。頭に書かれているDV.という文字が気になるが、まあそんなに意味は変わらないだろう
9kmなのですぐに町に着いた。
小さなところだが露店での食堂や魚売り、レストランとカフェが並び賑わっている。
レストランで簡単な朝食を食べ、ホテルを探す。
↑簡単な朝食。コーヒーとハムのみはさんだサンドイッチ2個で2ソル(約70円)
人に尋ねると、ホテルはすぐに見つかった。
おそらくここにひとつしかないのだろう。
値段はテレビ付きで25ソル(875円)、なしで20ソル(700円)だがどちらもトイレバスつき。
個室でバスルームがあってこの値段は安いほうだが、しかし部屋はあまりよくないように見える。
壁には隙間があり外へ通じる穴が空いているし、扇風機はない。
床にはカラカラに乾燥して転がったゴキブリが一匹。
もしかしたらさっき看板で見た町へ行ったほうがいいホテルがあるのではないか。
あと15kmならもうすぐ着くだろう。
そう思いホテルを出た。
が、人生そううまくはいかないものだ。
↑朝食が足りなかったのでその後に出てきたレストランで食べた醤油味のレバー。久しぶりに日本風の醤油を堪能。おいしかった
途中バスの影でマンゴーを食べている団体と遭遇。
マンゴーを食べたくなったのでどこでそれを買ったのか聞いてみたところ、その場でひとつくれた。
そしておみやげに小ぶりのマンゴーを6個ほど。
太っ腹!
ありがたく受けとる。
入れるところがなく自転車のかばんを開けっ放しにして詰んでおく。
砂や虫が入ってきそうだが、こうするしか方法がない。
しばらく走って15km先の地点。
そこは今日スタートした場所よりももっと小さい村だった。
想像と…違う……?
ここにつく少し前に会った、目の前で突然止まり一緒に写真を撮ってくれるよう頼まれたバイク乗り2人(一瞬強盗かと思ってあせった)に話を聞くと、
ここを左に曲がって80km進むとウアンカバンバに着くと言う。
つまりあの看板は
「ウアンカバンバの曲がり角まで15km」
ということだったのだ。
町の名前の手前になにか2文字ついている DV. はおそらく英語のdivided(分かれた)のスペイン語読みだろう。
英語とスペイン語は似ている部分も多々あるので、似ている英語にあてはめるとスペイン語の意味がおのずと見えてくる場合がある。
そうか・・・
期待していたぶんガッカリ。
「この先はしばらく家がなくなるから水を十分持ってここで休んでから行ったほうがいいよ」
とバイクの人。
警察署でトイレを借り、警官にこの先のことを聞いてみる。
ビレイという町があるが、かなり遠いらしい。
大きな町は車で2時間くらい、次の村までは車で1時間ほどかかるという。
1時間ということは60km~80kmくらいだろうか。
今日中に着くのは無理そうだ。
今日もタイヤがパンクしていて、警察署の影で修理に明け暮れる。
今回は後輪がパンク。
今度はトゲではなく針金が何本もタイヤに刺さっていた。
それをピンセットで抜くのに時間がかかり、修理が終わるまでにかなりの時間を要した。
そんなことをチマチマやっていると、パトカーに乗ってきた警官の一人がクッキーを6袋ほどどっさりくれた。
太っ腹!!
ちなみに昨日の夕食はこのお菓子が一袋だったので、これだけで昨日の6食分ある計算。
↑同じ人にセバーダもいただく(写真右)。左上はバスの人からもらったマンゴー
水を少し買い足し、無人の道へと出発。
言われていた通り、
本当になにもない。
時々1~2軒家を見かけるが、滅多にない。
こんなになにもないのはカナダ中部以来だ。
カナダではクマが出そうだったが、ここではライオンが出そうな景色が流れていく。
それより強盗が出るんじゃないかと怯えながらペダルを必死にこいだ。
↑奥に行くほど起伏が多くなり、地平線しか見えなかった地上にやっとごつごつした山が現れた。あそこが砂漠のはじっことなりえるのだろうか
↑ものっそい緑の木を発見。"ドリアードの木"と勝手に命名
もうすぐ日が暮れる。
まわりに散らばるゴミの状況からもうすぐ町がありそうだと予想するが、一向に見えない。
次に家を見かけたら思いきってキャンプさせてもらうよう頼んでみよう。
長い時間走り、大きな敷地内に住所の看板と家がやっと見えたので、門の前に立った。
奥に人影が見える。
が、小さい。
呼ぼうとした矢先、相手はこちらに気づかずに去ってしまった。
少しの間そこで立ちすくんでいると、後ろからきたバイクが「もっと向こう」というジェスチャーをする。
どういうことだろうと思いながらもう少し先へ進み、坂を登りきったところで
町が見えた。
よかった。
助かった。
ここが警察が話していたVirrey(ビレイ)だというとは明白だ。
看板に書いてあったから。
とりあえず寝床はあとでいい。
レストランで食事を頼む。
以前にも食べたがプレというクリームのような料理がとてもおいしかった。
↑こちらは前にも載せたラスロマスで食べたプレ。ニンニクの香りがしてしっとりおいしい
※追記:本当はこれ、aji de gallina アヒデガジーナという名前だそうです。地域によって違うのかな?
中央の公園に行き、そこでなにかの準備をしているおじさんにキャンプ場所を聞いてみると、
「localと呼ばれる広場だったらいいんじゃないか」と言う。
…localってなに?
おじさんについていってみると、教会の隣に壁と扉があり、その向こうはものすごく広いスペースがあった。
ステージがあるのでおそらくイベント用の場所が local ローカルという意味なのだろう。
当たってるかな?
こんなところで一人キャンプできるなんてなんて贅沢な。
屋根のあるところにテントを張らせてもらい、疲れていたようですぐに寝てしまった。
ここがどのくらい広いかというと、
このくらい。
これを独り占め!
↑案内してくれたおじさんがいた中央の公園
夜に目が覚める。
壁の外から音楽が聞こえてくる。
鉄のドアを開けてそちらへ目を向けると、さきほどの公園で祭りをしているようだった。
村の人や子どもたちが衣装を着て踊っていた。
それをしばらく眺め、そしてまた眠りについた。
ピウラに滞在して一週間以上がたち、ようやく出発する決心がついた。
つまりオリジナル商品をプレゼントしてくれたのだ。
そんなノベルティグッズを丸めて自転車のかばんに入れ、ありがたく頂戴した。
出発はいつも通り遅刻し、午後12時半。
ホテルを出て町はずれで昼食を食べ、以前来た道を戻りだしたときには1時になっていた。
↑この道を行くと近いのだが、強盗が頻出して危険らしいので遠回りしていく
ゆるやかな上り坂をゆき、2時間後には前に会ったジュース売りと再開。
輪切りパインとジュースを購入し、それを食べながらまたここで休憩する。
↑息子と一緒に頑張って働いていた
ここでまた寝泊まりしようかとも思ったが、ジュース売りは
「この先には家もいっぱい並んでいるし心配することない」
と言っていたのでそれを信じ、まだ先へ進むことにした。
たしかに一定の間隔幅で家が並んでいて、どこでも安全にキャンプさせてもらえそうだ。
↑奥に町が見える。砂が舞い見え方がうっすらすぎて蜃気楼を疑った
さらに20kmほど進んで村に到着。
小さな商店で飲み物を買う。
店員さんの話では、ここからはピウラかどこかからの距離が住所になっているらしく、現在41km地点だそうだ。
そしてあと9km行けば町があり、ホテルもレストランもあるらしい。
↑商店のとなりにはこんな看板が立っていた。Forestales(フォレスタレス)がこの村の名前だろうか
それじゃあもう一踏んばり行こうかと思った矢先、前輪がパンクしていることに気づいた。
前輪がつぶれるとは珍しい。
しぶしぶ店の前でパンク修理開始。
面倒くさい。
タイヤを見てみると無数のトゲが刺さっている。
黄色い色をしているので、犯人はおそらくトゲトゲの植物だろう。
↑こんなの。これはまだ小さいほうで、もっと大きいのも刺さっていた
それがとてもきれいなトゲ型をしており、見事な三角錐なのだ。
ロックマンに出てくる当たると一撃でやられる障害物のような形をしているそのトゲが、タイヤにたくさん刺さっている。
これは今後気をつけねばなるまい。
そう考えながら、結局チューブに穴をあけた真犯人はいつもの針金だったのだが。
とにかく! この道はこういうゴミがたくさん路面に散らばっているということがわかったので、この先注意しよう。
どうやって注意するのか。
それはわかりません。
修理が終わったときには夕方6時をすぎていた。
さすがにこれから出発するには遅すぎる。
今日はこの小さな村に泊まることにした。
さきほどサッカー場を見つけたのでそこでテントを張ろうかと思っていたのだが、目の前に教会があったので急遽予定変更。
そこで泊まらせてくれるか聞くことにする。
教会の周辺をうろついていると隣人夫婦がやってきて、
「ここの神父は後1時間くらいでピウラから帰ってくるからここで待つといいよ」
と優しく教えてくれ、にこやかに話をしながらここで座ってなさいと指示してくれた。
待つこと30分。
今度は教会に用事があるらしい男が話しかけてくれ、神父を待つのに付き合ってくれる。
彼と話をしていると、次はさっきと逆側の隣人がこちらへ来て、その人の家にテントを張らせてもらえることになった。
みんなやさしい。
彼らの話によると、ここは敬虔なキリスト教徒たちがすんでいるらしい。
だから窃盗もなく安全だという。
村人はみな穏やかな雰囲気を醸し出していた。
隣人の敷地へ入れてもらい、まずは急いでトイレを貸してもらう。
腹の調子が悪かったのだ。
そのトイレというのが、放牧をしているものすごく広い庭の真ん中にある。
その砂地にかなり深目の穴があいており、そこで用を足すものだった。
使用方法は和式便所のようなものだが、まわりには壁がない。
開け放たれた空間。
ありがたいことにこのときはあたりが真っ暗だったので、砂漠の真ん中で遠慮なくズボンを降ろす。
まだ熱気の残る渇いた風が火照った下半身をなで、とても開放的で気持ちがいい。
わあ、こんなのはじめて。
くせになりそう。
終わったら穴の中に砂を蹴飛ばして入れて終了。
外で用を足すというと汚いイメージがあるが、これなら衛生的かもしれない。
屋根のある場所にテントを張らせてもらったあと、さっきの教会でミサをやっているから来ないかと誘いを受ける。
自分はクリスチャンではないが、せっかくなので途中参加することになった。
教会では神父が説教をしているところだった。
熱心な教徒たちはそれぞれ各自のタイミングで
「Amen! Gloria Dios!!」
と大声で叫び、拍手をして盛り上がっている。
ミサが終わると全員で握手をしあい、それから神父と軽く話をすることになった。
彼はこちらの頭上に手を掲げ、神に祈ってこの旅を祝福してくれた。
それを見るまわりの人たちも両手を掲げて目をつむって祈る。
彼らの優しさを感じながら、
ああ、もう少しいい子にしてなきゃな、と思った。
そんな、日本では滅多にないちょっと不思議な体験をしたのでした。